コンクリートの圧縮応力度の求め方:σ=P÷Aで計算する手順
Key points
- コンクリートの圧縮応力度は σ=P÷A、荷重はN、断面積はmm²で揃えると N/mm²(MPa)で出る。
- 圧縮強度は破壊時の最大応力度であり、応力度と強度は同じ式の別の使い方である。
- kNをNに直さないと答えは1,000分の1、π×d²と誤ると面積が4倍になり応力度は4分の1になる。
- 建築基準法施行令第90条では長期許容圧縮応力度は設計基準強度の1/3、短期はその2倍。
- 強度試験はJIS A 1108に従い、平均値だけでなく養生条件と報告書をセットで確認する。
圧縮応力度は σ=P÷A で求めます
コンクリートに生じる圧縮応力度は、作用する圧縮荷重 P(N)を断面積 A(mm²)で割った値で、σ=P÷A で求めます。単位は N/mm² で、これは MPa と同じ意味です。1 N/mm² はおよそ 10.2 kgf/cm² にあたります。
ここで大事なのは、応力度が「荷重の大きさ」ではなく「単位面積あたりの力」だという点です。同じ 200 kN でも、断面積が 10,000 mm² なら 20 N/mm²、5,000 mm² なら 40 N/mm² になります。断面が細いほど応力度は大きくなります。
計算の入口はいつも2つだけです。荷重を N に統一すること、断面積を mm² で正しく出すこと。この2つが揃えば、あとは割り算だけで答えが出ます。
供試体の圧縮強度を計算する手順
圧縮試験の結果から圧縮強度を出す流れは次の4ステップです。まず試験機が記録した最大荷重を読み、kN なら 1,000 を掛けて N に直します。次に供試体の断面積を A=π×(直径÷2)² で計算します。続いて σ=P÷A に代入し、最後に3本の平均をとります。
たとえば直径 100 mm の円柱供試体なら、半径 50 mm、A=3.1416×50²=7,854 mm² です。最大荷重が 235 kN なら P=235,000 N、σ=235,000÷7,854=約 29.9 N/mm² となります。同じロットの3本が 29.9、31.2、28.4 N/mm² なら平均は約 29.8 N/mm² です。
3本の値が大きくばらつく場合、計算ミスより先にキャッピングの不良や載荷速度のムラを疑ったほうがいい場面があります。私たちが試験データの整理を手伝ったときも、式の誤りより供試体の端面処理の問題だったケースが実際にありました。
試験方法そのものは JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)に規定されています。計算式は単純ですが、条件が揃っていないと値の意味が変わります。
圧縮応力度と圧縮強度は何が違う?
圧縮応力度は「その瞬間に断面へ生じている単位面積あたりの力」で、圧縮強度は「破壊に至ったときの最大応力度」です。つまり圧縮強度は応力度の一種で、試験では荷重が最大に達した点の応力度を圧縮強度と呼びます。
設計で使う数字はさらに別物です。設計基準強度(Fc)は設計時に前提として決める強度で、実際の試験値がそのまま設計値になるわけではありません。建築基準法施行令第90条では、コンクリートの長期許容圧縮応力度を設計基準強度の1/3、短期をその2倍としています。Fc=24 N/mm² なら長期8 N/mm²、短期16 N/mm² です。
ただし土木系の設計では設計基準強度と安全係数の扱いが異なり、同じ「Fc」でも意味がずれることがあります。適用する基準が建築系か土木系かを必ず確認し、実際の設計値は建築士や技術者に確認してください。
計算で間違えやすいポイントは?
最も多いのは kN と N の取り違えです。試験機の表示が kN のまま計算すると、答えが1,000分の1になります。29.9 N/mm² が 0.0299 になるような値が出たら、まず単位を疑ってください。
次に直径と半径の混同です。A=π×d²÷4 でも同じ結果になりますが、π×d² としてしまうと面積が4倍になり、応力度は4分の1になります。円柱供試体の径は 100 mm と 150 mm の2種類がよく使われるので、どちらの供試体かの記録も必須です。
有効数字の丸めはそれほど敏感ではありません。πを3.14としても3.1416としても差は0.05%程度で、強度判定を左右することはほとんどありません。それより載荷速度、含水状態、供試体の寸法効果といった試験条件のほうが結果に効きます。
計算そのものは電卓や表計算で足ります。式を何度も確かめたいときは、OnlineFree.app のような登録不要のブラウザツールと電卓を併用すると、手順の記録を残しやすくなります。
実務で使う前に確認しておきたいこと
試験値をそのまま設計に持ち込まないでください。圧縮強度はロットや打設部位でばらつき、養生条件でも変わります。平均値だけで判断せず、試験機関の報告書、採取日、養生方法、試験条件をセットで確認するのが基本です。
法令や基準の数値は改正されます。2026年時点で有効な規定かどうかは、e-Gov法令検索や日本工業規格の原文、所属団体の示方書で必ず確認してください。安全やコストに関わる判断は、私たちの記事だけで完結させず専門家の確認を挟むべき領域です。
計算メモや報告書をまとめるときは、OnlineFree.appのブログとガイド に表計算や文書整形の進め方をまとめています。報告書の文字数や表現を整えるなら文字数カウントツール も使えます。無料で、アカウント登録は不要です。
Frequently asked questions
コンクリートの圧縮応力度はどんな式で求めますか?
圧縮応力度は σ=P÷A で求めます。P は圧縮荷重(N)、A は断面積(mm²)で、答えの単位は N/mm²(=MPa)です。直径100 mm の円柱供試体なら A は約7,854 mm²、最大荷重235 kN なら約29.9 N/mm² になります。
圧縮応力度と圧縮強度の違いは何ですか?
圧縮応力度はその時点で断面に生じている単位面積あたりの力、圧縮強度は破壊に至ったときの最大応力度です。つまり圧縮強度は応力度の一種で、試験の最大荷重を断面積で割った値がそのまま圧縮強度になります。
圧縮応力度の計算に専用ソフトは必要ですか?
必要ありません。σ=P÷A の割り算なので、電卓や表計算で十分です。ただしkNからNへの換算と断面積の計算を間違えやすいため、式と単位をメモに残しておくと検算が楽になります。
計算で最も間違えやすいのはどこですか?
kN を N に直し忘れる点と、直径と半径を取り違える点です。kN のままだと答えが1,000分の1になり、π×d² と計算すると面積が4倍になって応力度は4分の1になります。出た値の桁が不自然なら単位を疑ってください。
許容圧縮応力度はどうやって決まりますか?
建築基準法施行令第90条では、コンクリートの長期許容圧縮応力度を設計基準強度の1/3、短期をその2倍としています。ただし土木系の基準では安全係数の考え方が異なるため、適用する基準の原文と専門家の確認が必要です。
References
- e-Gov法令検索 建築基準法施行令 · elaws.e-gov.go.jp
- 日本工業標準調査会(JIS) · jisc.go.jp
- 日本建築学会 · aij.or.jp